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量子コンピューターの進展と社会実装への展望

2025年は国連が定める「国際量子科学技術年」であり、量子力学の誕生から100年を迎えます。量子コンピューターを中心とした量子技術は、今後のデジタル社会の基盤として注目されており、米グーグルをはじめとする海外勢だけでなく、日本の大学や企業も産業応用を見据えた研究開発を加速させています。

量子コンピューターの可能性と現状

  • 量子コンピューターは従来のコンピューターでは膨大な時間がかかる複雑な計算を短時間で処理できる可能性があります。
  • 2019年、グーグルが「量子超越」を達成と発表(ただし実用面ではスパコンが同等との反論も)。
  • 実用的な計算でスパコンを超えるには課題もあるが、応用分野によっては実現が近い。

実用化が見込まれる分野

  • 材料開発:東大の研究で、半導体・磁性材料などの開発において量子コンピューターの優位性が確認。
  • 化学分野:三菱ケミカルが有機EL用の材料開発に成功。2027年ごろには実用化の可能性も。
  • 金融:ゴールドマン・サックスなどが金融市場分析における応用を検討。日本の銀行も急激な株価変動の予測に活用。

日本の取り組みと連携

  • 慶應義塾大学の量子コンピューティングセンターにはトヨタ、ソニー、ソフトバンクなど大手企業が参画。
  • 東京大学のSQAIではAIやスパコンとの融合研究を推進。2024年末時点で39の企業・自治体が参加。

課題と展望

  • 現状、量子ビットは不安定でエラーが起きやすく、運用やメンテナンスも課題。
  • 慶応大の山本センター長は「各業界での明確なベンチマーク設定」が重要と指摘。
  • ボストン・コンサルティング・グループは2040年までに最大133兆円の経済価値が生まれると予測。

量子技術は今後、コンピューター・暗号・センサーなど幅広い分野で社会的インパクトをもたらすと期待されており、今まさに「量子技術元年」の様相を呈しています。

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