政府は2025年冬を目途に、人工知能(AI)を活用したロボットの開発および社会実装を推進する「AI基本計画」の策定を進めている。石破茂首相は6月2日に開催されたAI戦略会議にて、介護・農業・医療といった人手不足が深刻な分野を中心に、AIの具体的な活用ビジョンを盛り込むよう指示した。
計画では、AIロボットによる入浴・移動補助(介護分野)、遠隔操作・土壌解析(農業分野)、**診察・手術補助(医療分野)**など、人の作業を補う技術の活用が柱となっている。生成AIを搭載した高機能ロボットの開発を後押しし、日本発のサービスロボットの国際競争力を高める狙いもある。
この動きに呼応して、政府は「AI×地方創生2.0」と題した新たな構想を打ち出しており、地方自治体と高等専門学校、スタートアップとのマッチングイベント開催や、自治体向けのAI活用ガイドライン策定なども進められている。
グローバル市場で加速するAIロボット投資
海外では、特に米国・中国を中心に、ヒト型やサービス用ロボットへの投資が急拡大している。米調査会社ピッチブックによると、2024年のヒト型ロボット分野への投資は14億ドルを突破し、前年の5倍以上に成長。今後10年で市場規模は3,800億ドルに達するという試算(ゴールドマン・サックス)もある。
一方、日本は製造業向けの産業用ロボットでは世界シェア約2/3と高い競争力を誇るものの、サービスロボット分野では約10%にとどまっているのが現状です。政府はAI搭載による付加価値の向上を図り、この分野での巻き返しを狙っている。