新自由主義の権化であるゴールドマン・サックスで16年間、著者が考える「正しい資本主義」に沿って仕事を続け、ついにクビになったバンカーが出した本である(現在は本業のバンカーに復帰している)。
我々が日頃何気なく使っている「資本主義」の意味を、実務で突き詰め考えぬいて実践してきた著者は、more and moreを要求する(新自由主義に基づいた)資本主義は、本来の意味における資本主義ではないと言う。
環境問題についてネガティブな意見があるのも、その根底には新自由主義的資本主義の副作用である「成長の目的化」や「時間軸の短期化」があるとして、投資においても対象企業の事業目的を見極め、長期的な観点が必要であると主張する。
著者の考え方は宇沢弘文の「社会的共通資本」の概念にもつながる。宇沢弘文は、新自由主義者のミルトン・フリードマンが一番恐れた経済学者といわれている。最近宇沢弘文の考え方が見直されているのも、新自由主義の退潮と無関係ではない。
最近原丈人氏が公益資本主義研究・実装センターを設立したが、ここでも新自由主義ではない、「世界が羨む資本主義」を日本で実現させようとする強い意志が感じられる。世の中は日本から変わっていきそうだと感じさせる動きである。